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携帯サイト育成の正念場
 golgo_jimmyさんの記事、『携帯電話専用の小説の意義』にトラックバック。時間的余裕がないため、あまり考察せず走り書き。

 ITmediaのケータイ小説の「女王」が企業から注目される理由について書かれていまして、画面サイズを考慮して改行を増やしたなど、携帯電話に向けた作品が紙書籍作品と同列に並びうるのか(ちょっと意味ちがうかな)、といった内容になっています。

 「おそらく並んじゃうんだろうな」というのが私の感想。というのは、一般的に現代小説というものがライトな方向に向かっているからです。私が中学生の頃、赤川次郎がブームとなっていましたが、あれも当時は「文章が稚拙だ」「描写が荒い」などいろいろ言われていたと思います。しかしそういった批判とは裏腹に読みやすい文体と改行&空白の多い文面は読者の読解を助け、それがブームにつながったのだと思います。

 最近も海外小説の訳書などは改行や空行がずいぶん目立つような気がしますし、直木賞あるいは芥川賞作品なども比較的“文章が稚拙”と言われやすい作品が多くなってきている傾向にあるようです。私自身は、そうそういろいろ読んでいるわけではありませんが、そういった“稚拙”と言われる作品は逆に“読みやすさ”につながっていると感じています。


 もうひとつ上記ITmediaの記事で気になったのは、企業の携帯サイトがユーザー囲い込みのためにケータイ小説に注目しているとのこと。
 もう1つの可能性は、企業がケータイ小説に注目しているということだ。実は、前述の内藤氏にオファーを出した6社のうち、5社は携帯サイトで小説を執筆してくれないか、というものだった。

 この理由は、携帯サイトのビジネスモデルと密に関わっている。

 携帯サイトは月額契約者を増やすことで安定した収益を確保できる。しかし、解約率の高さに悩んでいるサイトは多い。着メロのサイトを例にとると、ユーザーは着メロサイトに入会後、目当ての曲をダウンロードするとすぐ退会してしまう。これでは、サイト運営が不安定になる。

 この打開策として、携帯サイトを「メディア」化して、継続的なアクセスを見込むという方法がある。この手段として、しばしば選ばれるのが「ケータイ小説」というわけだ。
 これは携帯サイト運営において「月額契約料」というシステムにあぐらをかいてきた結果として解約率が高まってきたのだと思います。もともと携帯サイトというものがiモードから始まったものですから、「一度囲い込んでしまえば」という習慣ができてしまったのかもしれません。
 そこに小説を持ってきたところで、それは本来スポーツニュースを伝えるためのスポーツ新聞が小説を載せるようなもので、なんの目新しさもなくその場しのぎにしかならないと思います。小説を提供する側も危機感が必要でしょう。おそらくそういう「メディア化」しようとするサイトは「小説がだめならゲーム。ゲームがだめならテレビだ」とどんどん中身の置き換えをしていくものと思われます。
 現在は従量課金が大きく幅を利かせていますが、そんななかでも月額定量課金でうまくやっているサイトは提供コンテンツを単に増やすだけでなく、サイトそのものの育成にも力を入れていて、優れた検索システムがあったり、コンテンツの紹介がわかりやすく具体的であったり、インターフェイスが使いやすいものであったり、特集がタイムリーで面白いものであったりするものです。
 ユーザーの欲求を探りながらサイト設計をしていくのも一つの方法ですが、「こんな面白いものを考えてみました」とサイト側からどんどん提供してユーザーを引き込んで欲しいものです。

 そう考えると携帯サイト運営会社の大規模化も避けられないかもしれませんが、そろそろいくつかのサイトは淘汰されても良いような気がします。各ジャンルにあまりに多くのサイトがありすぎて、いったいどれが本当に使いやすいサイトなのかユーザーが判断できない状況になっていますから・・・。
by masaki_graffiti | 2005-06-11 05:51 | 携帯電話考察


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